著者
cixhamin
文書のライセンス

マナーとはなにか
多くの就労移行支援事業所では、必ずといっていいほど「ビジネスマナー」のプログラムがあります。言葉の使い方や、席順とか、いろんな所作とか、そういったものの基本を学びます。それ自体はとても大切です。しかしそれができたところで、就労継続ができるかといえばそうではありません。マナーとは何かについて本質的理解が必要です。
マナーとは相手に対する敬意と尊重
マナーにはさまざまな役割がありますが、その根底にある重要な考え方の一つが、相手への敬意と尊重です。
世の中にはいろんなマナーがあります。ビジネスマナーでも非常に沢山あります。どうして「マナー」が設計されているのか考えましょう。すごく基本的なマナーの一つに「あいさつ」があります。私の会社の上司には「あいさつできない人は社会参加する資格はない」とまで言う人がいます。もちろん、社会参加の資格をあいさつの可否で判断することには賛成しませんが、それほどあいさつを重視する人もいるということです。あいさつはすごく基本的なマナーでありながら、とても大切なマナーでもあります。ではなぜ「あいさつ」をする必要があるのでしょうか?
それは、「あいさつ」という行為が「あなたを無視していませんよ」「存在を認めていますよ」という相手に対する敬意や尊重だからです。つまりマナーとは「相手に対する敬意や尊重」を表明する役割を担っています。マナーが不十分だと、たとえ相手を尊重する気持ちがあっても、相手には敬意が伝わらず、無礼だと受け取られることがあります。こういったマナーが会社にはいって取引先とのコミュニケーションで重要になるのはいうまでもありません。マナーがなっていない対応は自社の立場を不利にすることもあるからです。
敬意と尊重を示すための傾聴
マナーとは、相手への敬意と尊重を表すための行為であると説明しました。では、実際に相手に敬意と尊重を示すには、どうすればよいのでしょうか。その基本となるのが、相手を理解しようとする姿勢を持つことです。例えば、相手の話を最後まで聴くこと。相手の発言をすぐに否定したり、自分の価値観だけで評価したりせず、まずは相手が何を伝えようとしているのかを理解しようとすることです。
このような姿勢は、一般に「傾聴」と呼ばれます。傾聴はカウンセリングや福祉の分野で重要視されていますが、一般的なビジネスシーンでも非常に有用なコミュニケーションの技術です。相手の話を真剣に聴くこと自体が、「あなたの考えを大切にしています」という敬意と尊重の表明になります。ただし、傾聴することと、相手の意見に同意することは別です。相手の考えが間違っていると思うこともあるでしょうし、仕事では反対意見を述べなければならない場面もあります。しかし、そのような場合でも、まず相手の考えや、その背景にある事情を理解しようとすることはできます。
相手の話を十分に聴くことで、なぜそのように考え、行動するのかを理解する手がかりが得られます。その結果、相手の事情を踏まえた適切な対応を考えやすくなり、無用な衝突を避けることにもつながります。
敬意と尊重とは、相手の意見を無条件に受け入れることではありません。相手を一人の人間として大切に扱い、その考えや事情を理解しようとすることです。
この姿勢を持つことが、形式的なビジネスマナーを超えた、より本質的なマナーの実践につながるのです。