著者
cixhamin
文書のライセンス

概要
「知::論理的思考の概要」でも述べましたが、論理的思考に使う論理の基本理論は数理論理学です。簡潔に数理論理学の概要を述べたいと思います。
基本演算
数理論理学の基本的な演算は「AND(かつ)」「OR(または)」「NOT(ではない)」の3つだけです。この3つの演算のみを用いて様々な論理を構成します。
AND(かつ)
| \[ p \] | \[q\] | \[ p \land q\] |
| 偽 | 偽 | 偽 |
| 偽 | 真 | 偽 |
| 真 | 偽 | 偽 |
| 真 | 真 | 真 |
日本語で書けば「両立」です。
OR(または)
| \[ p \] | \[q\] | \[ p \lor q\] |
| 偽 | 偽 | 偽 |
| 偽 | 真 | 真 |
| 真 | 偽 | 真 |
| 真 | 真 | 真 |
日本語で書けば「どちらか一方以上成り立つ」です。
NOT(ではない)
| \[ p \] | \[\lnot p\] |
| 偽 | 真 |
| 真 | 偽 |
日本語で書けば「反転」「否定」です。
ド・モルガンの法則
論理演算の基本法則にド・モルガンの法則があります。以下の式で示されます。証明は省略します。
- \( \lnot(p \land q) \Leftrightarrow \lnot p \lor \lnot q \)
- \( \lnot(p \lor q ) \Leftrightarrow \lnot p \land \lnot q \)
条件命題
pならばqみたいな命題を条件命題と呼びます。論理式で書けば
\[ p \rightarrow q \]
となります。論理を構成するときにこの命題は必ず使用します。論理式は以下の通りになります。特にpを十分条件あるいは仮定、qを必要条件あるいは結論と呼び、必ず
\[ p \subset q\]
が成り立ちます。これは必要条件(結論)より十分条件(仮定)のほうが厳しいことを意味します。
| \[ p \] | \[q\] | \[ p \rightarrow q\] |
| 偽 | 偽 | 真 |
| 偽 | 真 | 真 |
| 真 | 偽 | 偽 |
| 真 | 真 | 真 |

上記の表を見ていただければわかるのですが、唯一偽になる条件がpであり、かつqではない条件です。論理式で書けば
\[ p \land \lnot q\]
です。これらの条件以外、すなわち
\[ \lnot ( p \land \lnot q) \Leftrightarrow \lnot p \lor q \]
が条件命題の論理式となります。すなわち
\[ p \rightarrow q \Leftrightarrow \lnot p \lor q\]
が成り立ちます。より平たく言えば、前提となる物事(十分条件:発展、より厳しい)が成り立って、結論となる物事(必要条件:基礎、緩い)が成り立たないということはないという主張ですね。条件命題とは「基礎ができないのに発展ができるなんてありえない」と覚えていただければと思います。
逆・裏・対偶
以下の4つの命題について
- \( p \rightarrow q \cdots (1)\)
- \( q \rightarrow p \cdots (2) \)
- \( \lnot p \rightarrow \lnot q \cdots (3) \)
- \( \lnot q \rightarrow \lnot p \cdots (4) \)
上記命題の内(1)と(2)は逆、(1)と(3)は裏、(1)と(4)は対偶と呼びます。逆・裏の真偽は元の命題とは必ずしも一致するわけではありませんが、対偶の真偽は元の命題の真偽と必ず一致します。
背理法
通常の論証では
\[ p \rightarrow q\]
を論証します。これはpという前提があれば、必然的にqが成り立つよね。ということを主張します。ただしこの方法では論証が難しい場合(少なくとも一つ以上を示す等)があります。そこでよく利用されるのが背理法です。背理法とは
\[ \lnot(p \rightarrow q) = 偽 \Leftrightarrow p \land \lnot q = 偽\]
を示します。つまり、必要条件(結論)の否定と十分条件(仮定)は絶対に両立しないこと(論理的破綻)を示すことで、pならばqが真であることを示します。
同値
\[ p \rightarrow q \land q \rightarrow p\]
を満たすものを同値といい
\[ p = q\]
と書きます。つまり、pとqは同じ意味を示す命題であるということです。真理値表は以下の通りです。
| \[ p \] | \[q\] | \[ p = q\] |
| 偽 | 偽 | 真 |
| 偽 | 真 | 偽 |
| 真 | 偽 | 偽 |
| 真 | 真 | 真 |
すなわち、pとqの真理値が一致している場合は真、異なる場合は偽です。
述語論理
これまでは2つの命題に対して、論理演算を考えてきました。実は複数の命題に関しても論理演算を考えることができます。それが述語論理です。述語論理には「すべての」という全称命題、「少なくとも一つ以上」という存在命題があります。
- \( 全称命題(すべての):\forall x \in X \ P(X) \Leftrightarrow P(1) \land P(2) \land \cdots \land P(x) \)
- \( 存在命題(少なくとも一つ以上):\exists x \in X \ P(X) \Leftrightarrow P(1) \lor P(2) \lor \cdots \lor P(x)\)
全称命題は「すべての」なので、一つでも成り立たない(偽)があれば、「すべての」とは言えません。逆に存在命題は一つでも成り立つ(真)があれば、成り立つのです。